つながりつなわたり

オールラウンダーなコンサル志望のサラリーマンが思う所をつらつらと書いていきます。

ものづくりとモチベーション

こんにちは。

久しぶりに土日両方ゆっくりする日があると、ついついダラダラとしてしまいます。

平日のフル稼働状態をオフにしてる感じですね。

オンオフがしっかり出来るほど、心も体も休まります。

ただ、ずっと寝てばかりいると頭も腰も痛い…休まってないじゃん!ってツッコミは無しでw

 

さて、今日のテーマはものづくりとモチベーション。

書き終わってみて、随分と高尚な話になってしまったな、と思いますが是非読んでもらえれば、と思います。

 

ものづくりという言葉は製造業に身を置いてきた私は嫌という程耳にしてきました。

なのでこれから説明するQCDの落とし穴の説明も、極力分かりやすく書いたつもりですが、製造寄りになっています。

各業種におけるQCDの落とし穴はある程度例えられますが、長くなりすぎるので割愛します。

 

品質や生産性などと言われ、とにかく安定したものをいかに低コストでたくさん納期までに作れるか、というQuality,Cost,Deliveryが指標になっているところばかりでしょう。

それは製造業に限らず、どの職種においても言える話です。

教育でも言えるんですよ、これ。

Qualityでいけば教え方、生徒の理解度合い、Costは教材や教育時間、Deliveryで言えば過程を終えるまでの進捗のズレ、など。

さて、QCDの度合いは

 

Quality(品質)=不適合率

Cost(コスト)=原価

Delivery(納期)=納期遵守率

 

といったように評価されるのが一般的です。

あまりにも定着しすぎたこの指標、そこに落とし穴があると、私は思っています。

 

Qualityの落とし穴

品質は高ければ良いというものでもありません。

過剰品質は予期せぬ不具合を生みます。

最適な品質とは、機能を満たす最低基準に近く、最低基準を割らなければ良いのです。

 

製造者およびその管理者は、高い品質のものを提供する事に必死です。

そりゃそうです、質の悪いものを出せば怒られるしやり直しも発生する。

だから良いものを作ろうとする。最低基準を超えていればそれでいい、そう考えます。

 

私が過去に機械加工の競技会に出た時の話をしましょう。

当時の私は、現場で加工技術をたっぷり身につけた状態で、頭で考えるのではなく感覚で最適解の加工条件を見出して加工するようになっていました。

無論、現場ではそれでよかったのです。

規定を満たし、時間を満たし、無駄なロスを出さない。

それが身についた状態で競技会の練習に臨みました。

そこでそれが仇になったのです。

競技会での道具は全て新品の状態。

そこで、普段やっている感覚で加工すると、どうしても寸法が狙い通りにいかないのです。

結果は直ぐに分かりました。

綺麗に加工しすぎていたのです。俗に言う過剰品質。

表面が綺麗過ぎて、新品の道具と接触した時には摩擦がほとんど起こらず、滑っていたのです。

その問題はわざと品質を落とすことで解決しました。

車のタイヤがツルツルだと滑ってしまい、溝を入れているからちゃんと食いついてくれるように。

 

物は加工したあともいくつかの工程を経ます。

梱包したり、保管したり、運搬されたり、使用したり。

その所々で、設計者の意図しない可能性が生まれます。

設計者は神様ではありません、人なので、当然自分の得意な分野、経験豊富な分野があってもそれ以外は素人同然です。

 

故に設計者の意図が正しく理解され、設計者の範疇外の所はその道の専門家が正しく知識を与える。

そうやってお互いの知恵を出し合ってこそ、最適解が生まれます。

 

現在の製造ラインでは不適合率、つまり基準を外れるものには目を見張り外れない対策を取ります。

しかしながら、過剰品質を見張っている所は殆どないでしょう。

そこがQualityの落とし穴になります。

 

Costの落とし穴

原価削減の為に企業はさまざまなことをします。

挙げだすとキリがないくらいに、コストを下げることに注力しています。

しかしそこに落とし穴があります。

 

例えば以下の値段で考えてみましょう。

材料:1000円

発注者の時給:1000円

運搬費用:500円

製造費用:2000円

売値:5000円

作るのに4500円で売ったら5000円だから利益は1個あたり500円。

材料を800円で仕入れられないか、発注者は頭を捻ります。その為に1時間費やしたとしましょう、するとコストは2000円になります。

-200円する為に一時的に1000円掛かってしまいます。

5個売れれば元が取れますよね。

しかし5個売れるのでしょうか?5個作って、月に1個ずつ売れるとしたら、売るまでに5ヶ月かかります。

保管にも場所を要します。場所を使うと言うことは場所代がかかります。

製造費用を500円下げたとしましょう。

製造の費用削減は様々な工程があります。

作り方の変更、作業者の育成、作業環境の改善、作業者数の調整、設備投資による省人化、など。

変化があれば、それに合わせるまでの無駄が発生します。

発注の時同様、変更する際に一時的、または継続的に負荷が発生します。

それが原価を上げてしまう結果も招きます。

その結果、収入が減れば社員への給料も払えなくなります。

労働者は満足な代償を貰えなければモチベーションを保てません。

生産効率を維持する為には労働時間は1日6Hrが良いところ、という研究結果もありましたね。

原価が上がれば、当然売値も上がる、売値が上がれば今まで買っていた人が買わなくなることもある。

コストを下げる為にしたことでコストが上がる、これがCostにおける落とし穴です。

 

Deliveryの落とし穴

納期、ものを作るには時間が必要ですよね。

欲しい人がすぐに欲しいものであれば一定数作ってても売れますし、買い手が限られているのもであれば多数作ると損なので受注生産になります。

当然ここらへんは分かりやすい話でしょう。

一定数作れるものは標準日数が存在します、同じものをたくさん量産できる場合がほとんどなので、作る為にかかる日数が見えています。受注生産でも同様に、何日かかるか、または何日まで短縮出来るか、は把握されている場合が多いでしょう。

ただ、標準日数なんてものはあくまで参考でしかありません。

工場が停電すれば生産ラインは止まります、道路が閉鎖になれば運搬ができません、材料が入らなければそもそも作れません。

生産ラインが復旧したら、遅れを取り戻す為に残業したりします。

残業すればコストも上がるし、本来のかかる日数より短縮されます。

そうすると、いつ入るか分からなくなります。

最終消費者である私たちが小売店などで言われますよね「次の入荷は未定です」。

そうです、消費者の手前にあるラインにどんな影響が出ているのか、いつ入るのかなんて分からないのが当たり前なのです。

そして、生産者はどれくらい待ち望まれているか分かりません。また、納期を間に合わせる為に無理をしろ、と言われれば無理をするから体調を崩します。

消費者→小売店→営業→製造元→材料屋→製造元→営業→小売店→消費者と伝言ゲームしていたら、何日かかるやら。

システムでいくら短時間でその流れが問い合わせできるようになっても、そう簡単に見積もれるわけがありません。

納期を与えることは大事です、決まりごとみたいなものなので。

しかしながら、複雑な状況、多人数が関わることで納期を何としても守らせる事は、同時に多人数の状況に変化を与えていることに気づかない人が非常に多い。

かくいう私も全て見据えているかというと無理です、神様ではありません。

納期が影響する力、この点がDeliveryにおける落とし穴です。

 

 

長くなりました、既に皆さんの時間を20分は使ってるのではないでしょうか?

そろそろ3000文字に達します。

 

まとめ

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

QCDの落とし穴、これを見えてない経営者は非常に多くて、そんな経営者に苦しめられる労働者もいます。

そして、そんな苦しみや不満を、消費者として自分の関係ない業界に与えている可能性もあります。

 

人の感情はとても負に向きやすいように出来ています。

集団心理というのも働いて、負の力は鼠算的に膨れ上がる傾向はたくさん見ているかと思います。

 

負に向いてしまうとモチベーションは上がりません。

モチベーションが上がらなければ良いものは作れません。

むしろ、良くないものが出来る恐れもあります。

 

子供が花を摘んで花冠を作ったり、砂場で砂のお城を作ったり、人が大人になっても純粋にものづくりを楽しめるように、他人に必要以上を求めないで下さい。無理をさせないでください。そして、自分も無理をしないでください。

相手に無理をさせる事は、遠回りして自分への無理に返ってきます。

自分が無理をすれば、何かしら相手に無理を強いてしまうのが人です。

 

どうか皆さんの心に本当のゆとりと、幸せな時間が訪れるように、まずは自分からゆとりを持って、ものを作ってみてください。

それが良い出来でも悪い出来でも、モチベーションが向いて、ものを作った、ということが経験値になります。

 

私のこの記事も、そんな物の1つだと思っています。